中3学調 第2回を分析 高校入試改革の影響を受け始める
12月1日(金)に県下で行われた平成29年度 第3学年 第2回「静岡県中学校学力診断調査」について語ります。
問題をさらっと見たときの印象は「数年前と比べると、ずいぶん変わってきたな」です。
今、問題について語るときに、全国で起こっている高校入試改革がその中心になるのですが、そのトレンドを所々に取り入れた模様と私は判断しました。
例えばトレンドの一つである「自分の考えを書く問題」を紹介しましょう。
<国語の作文>
中3が小6に向けて、上手な時間の使い方についてプレゼンする文章
<数学のメジアンとモード>
正しく述べているものを選び、その理由を説明
<英語の作文>
休日の過ごし方について。家or外出を選び、その理由を説明
数学の「正しく述べているものを選ぶ」は正しい答えが必要ですが、その理由や国語と英語に関しては、正解は一つではありません。論理的に自分の意見が述べられていれば正解になります。
今回の学調全体から見渡すと、「自分の考えを書く問題」はまだ多くありませんし、難度もそれほど高くはありません。このタイプの問題がもっとも出題されそうだった「社会」では空振りに終わりました。
さて、もう一つのトレンドにも触れておきましょう。
それは「時事問題と資料」です。
今回の「社会」は時事問題の宝庫でしたね。そこに資料やグラフが加わってくるのですから見た目の難しさは倍増ですね。
きっとどのように答えて良いのかわからず、難しく感じた中3生は多かったのではないでしょうか。
社会で取り扱われていた時事問題は次の通りです。
「豪華列車」「男女雇用機会均等法」「アイヌ文化振興法」「サウジアラビアの原油価格」「タイの製造業」「えん罪」
全国の高校入試改革で言うところの「時事問題と資料」は、社会を筆頭に、英語、国語、理科と広範囲に渡って出題されているのですが、今回の学調では「社会だけ」だったのが、個人的に残念でした。
この他にもトレンドとして、「複数の資料から読み取らせる問題」がどの教科からも出題されていました。今や「資料を読み取る力」は必須と思わせるテスト内容でした。
先日のブログ「『AI時代 読む力を養え』に納得」にも書きましたが「読む力」が現代人は不足しているそうです。文科省もそのことはリサーチ済みのようです。だから「2020年大学入試改革」を宣言して、早いうちから子供達に「読む力」を身につけさせていこうとする算段があります。
今回の学調ですが、数年前と比べると随分と出題傾向は変わりました。しかし、まだまだ難度は高くありません。浜松市が12月上旬に行っている浜松市学力調査の出題傾向の方が難度が高いです。こちらは難しいだけでなく「読み取り問題」「記述問題」を多めに配置し、トレンドの先端を走っています。こちらの方が最新の高校入試に対応できると私は思います。
最後に学調について、意見を述べさせてください。
もっと日本の将来を担う中学生たちのために、世界に発信する人材育成を念頭に置いて、設問に静岡独自のオリジナリティー性を強めて欲しいです。「資料を読む問題」「自分の意見を求める問題」「アイデアを求める問題」の量を50%以上に増やして、これをデフォルトにすることを切に願います。
追記:理科がもっとも簡単、従来の通りの問題形式でした。
2017/12/09 Category | blog
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