全国一斉学力テストで秋田県の村がトップ成績を維持し続けている理由
毎年4月に行われる全国一斉学力テスト。このテストが2007年に再開されてから秋田県は常にトップクラスの成績を収めています。さらに、その秋田県の中でもトップ成績を維持し続けている東成瀬村という村があります。ご存知ですか?
東成瀬村は秋田県の南部地方に位置した豪雪地帯にあります。山形県や宮城県とも隣接していて山深いところ。児童・生徒数は少なく一学年一クラスだけの小中一貫校があるだけです。村内に学習塾はないそうですが、村民の要望で村営の塾が一つつくられているそうです。決して学習環境に恵まれているとは言い難いこの村でなぜトップ成績を維持し続けらるのでしょうか?
本書を読み進めていくと、すぐに謎が解けました。
それは
「討論を中心とした考えさせる授業」と「並外れた読書習慣」
でした。
詳しくは本書に譲るとして、この二つは2020年大学入試改革に求められる本質でもあります。この二つが子どもたちの頭脳を活性化させていることは自明のこと。東成瀬村はこの二つを徹底的に取り組んでいました。そこでみなさんに提案があります。この二つ、つまり東成瀬村の取り組みを家庭に導入してはいかがでしょうか?
・討論を中心とした考えさせる子育て(会話)
・並外れた読書習慣
そんなに難しいことではないと思います。ちょっと意識するだけでかまいません。ちょっとやってみるだけでかまわないのです。お子さんにも討論を意識した会話をすることを伝え取り組んでみると、お子さんの頭の使い方が変化してくるはずです。継続していくと大きな学力になっていきます。
子育てに愛情があることは大前提として、人して成長していくためには、異なる価値観に触れ、自分が何者かに気づき、意見の異なるもの同士が議論をし、新しい価値に目覚めていくことです。そのために言葉を多く知る必要があるでしょう。相手の言葉や様子、価値観を理解できるようになります。読書が必要不可欠です。
本書でもこのように語られています。
子供たちは様々な可能性を持っています。その可能性を引き出すためにも土台作りが大事。土台作りには考える力、生きる力など総合力が必要です。主体的に積極的に人生に向かい夢に取り組むためには、課題に向かっていく知的好奇心や向上心が必要です。他人の話を聞く力も大切です。そのためには読書は最も必要なものです。
さらにこのように続きます。
これから必要なのは情報を構造化する力です。情報の量を増やすだけではダメで、それでは情報がどこに収まるかがわからない。量が増えていくと子供たちが混乱する。機能をちゃんと教えないといけません。形は同じだけど中身は違う。意味を教えてやって頭の中を整理し膨大な知識をうまく収めてやる器を作ってやらないと本当の力にならない。
とても嬉しいことに「討論を中心とした考えさせる授業」と「並外れた読書習慣」は、まなび研究所が実践している指導と同じでした。中高生の「新国語」、小6「新聞作文」、小4・5「国語作文」はまさにそう。生徒たちに考えさせ、言葉のシャワーを浴び、自分の意見を発信していく。そもそも学力は生きて行くために必要なことであり、偏差値のためではありません。学力は「考えること」と「読書」で身につき、その土台は出来上がります。これが最高、最強、普遍的な学習法です。この本を読んで、私は指導に自信を深めました。
まなび研究所では来週から新年度の授業が始まります。今、この本に勇気付けられ、早く授業をしたい気持ちでいっぱいです。とてもワクワクしています。
東成瀬村の鵜飼孝教育長のモットーに共感しました。まったくその通りですね。素晴らしいお考えなのでご紹介させていただきます。
子供たちに異質なものを受け入れる力をつけさせること。他者に触れてこそ子供は人になる。
「学力日本一」の村 秋田東成瀬村の1年
著者:あんばいこう
2019/03/02 Category | blog