文章理解力を身につけるには

夏期講習で行なった「名文に浸る読書講座」は今年も盛り上がりました。二日間の開催で取り扱った6作品を紹介します。

・姉、乙女への手紙 - 坂本龍馬

・老人と海 - ヘミングウェイ

・墨汁一滴 - 正岡子規

・開けな放たれた窓 - サキ

・小さな出来事 - 魯迅

・私の日常道徳 - 菊池寛

超一流作家の作品がズラリを並びましたが、これを小学生と一緒に深く読み込みました。すごいですよね。

これらの作品をこちらが一方的に「このように読み取りなさい」と、決めつけるような指導はせず、どこに感動したのか、どこに疑問を感じたのか、言っている意味がわからないのはどこなのかなど、本を読んで自分が感じたところを自由に線を引き、発表してもらいました。国語の主観のトレーニングです。

次に、筆者がもっとも伝えたいこと、表現したいことが何なのかを発表しあう場も設けました。これは客観視するトレーニングです。国語は、主観と客観を自分で意識できるようになると、文章理解が進みます。
最終的には「先生はこのように読み取りましたよ」と言って私の見解を述べておしまい。

ここで取り扱う作品は難解なものが多いですが、作者の生き方を話したり、作品の背景などを語ってあげると小学生でも理解できてしまいます。子どもたちも奥深い文章に浸ることができて大成功でした。

さて、この講座の最後にアンケートをとりました。どの作品が一番人気があったと思いますか?

ダントツで菊池寛の「私の日常道徳」でした。この本は菊池寛の在り方が綴られているのですが、まじめ一辺倒ではないところが人気の理由でした。

例えば

「一、約束は必ず守りたい。人間が約束を守らなくなると社会生活は出来なくなるからだ。従って私は、人との約束は不可抗力の場合以外破ったことがない。ただ、時々破る約束がある。それは原稿執筆の約束だ。これだけはどうも守りきれない。」

正義もズルさも正直に開けっぴろげるところに親しみを感じます。


2019/08/29 Category | blog 



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