Whatではなく、WhyとHowを
2019年度から小学5年生の算数で「速さ」を習うようになりました。今までは小学6年生で学習していた内容なので、ひと学年早く学習することになったのです。懸念するのは詰め込み学習。もともと算数は小5が割合、単位量、図形とつまずきやすい単元がズラリと並ぶ学年。そこへ「速さ」が加わったのです。答えを急ぐ形だけの学習にならなければいいのですが。
「速さ」といえば有名な公式がありますよね。「み・は・じ」や「は・じ・き」と呼ばれるもの。みなさんもお世話になったことがきっとあると思います。私は算数も指導していますが、実はこの公式を教えていません。公式、つまり何なのかが簡単に掴める指導はしないということです。それよりもなぜこうなるのか、どうやって考えればいいのかを考えるところに時間を割きます。はじめは時間がかかりますが、子どもたちは本質を掴むようになります。すると応用問題もできるようになり、結果として問題を解くことが早くなり、得意になります。
一方、中学生から私の塾へ通う子たちの中に、速さの問題を、公式を使って解く生徒たちに出会うことが少なくありません。見ていると、基本的な問題はできますが、応用ができません。公式を使わず考えてごらん、とアドバイスすると、「えっ、そんなことできるんですか?」と驚かれる有り様です。これでは学習の積み重ねができません。なぜなら、学習は暗記。解法ですら暗記になっているから、勉強効率は低いです。実際に応用が効く子たちは公式を使っていません。問題の本質を見抜き、問題にあたる学習をしています。
大学入試をはじめ、高校入試も公式ではなく、考えることを求める問題にシフトが入れ替わっている最中です。特に関東圏ではこの傾向が顕著です。これだけ変化が早い社会では、当然と言えるでしょう。
算数は、小学生のうちから便利な公式を教えず、考えることを癖づけさせたいですね。つまり、Whatではなく、WhyとHowを勉強の中心にすること。
今、子どもたちの将来のために大人がすることは、答えや解法を教えることではなく、WhyやHowを繰り返しながら考えさせることです。考えさせてあげる機会を積極的につくってみませんか?
2019/10/30 Category | blog