現実とのギャップを感じる「中3学調」
2020年9月2日に実施された”令和2年度 第3学年 第1回 静岡県中学校学力診断調査(学調)”の社会では「SDGs」を扱った出題がされていました。
しかし、その問題に違和感を感じてしまいました。その問題とはこちらです。
地図1(世界の食料に関するハンガーマップ2019)を見て、食料事情が最も深刻な州を書きなさい。
「地図を見れば誰でもわかるだろ!」とツッコミを入れたくなる簡単な問題です。肝心な食料問題についてはこれ以上の考察や意見、提案を求められることはなく、これで問題は終わりです。
他の問題も知識(事実)を求められるだけです。あまりにも求められたことが軽薄で頭に「?」が浮かびました。中3向けですよね?
ところで、先日、読売中高生新聞で紹介されていた本が気になったので手に取ってみました。
この世界を知るための大事な質問(著者:野澤亘伸)
本書では世界の貧困が生々しい写真とデータと共に紹介されています。
勉強する場所がないため、毎晩、街灯の下で学校の授業の復習をする15歳の少年(ブルキナファソ)
3年前に両親をエイズで亡くし、10 歳の弟と二人で暮らす13歳の少女(レソト王国)
7割もの子供が学校に通えず教育を受けられない国(ソマリア)
学調と比較すると現実とのギャップに違和感を得ます。世界では、同じ年頃の子どもが貧困生活を送っているというのに、学調で求められることは、貧困に対する問題解決ではなく、貧困地域を答えるだけです。これで、「SDGs」と言えるのでしょうか?
本書で紹介されていた子どもたちは、生きていくのに必死です。工夫と挑戦を繰り返しながら生活し、毎日を生き抜いています。学調を通じて、世界が抱える問題に意見や解決案を求める問いにしてほしいものです。
先日ブログで紹介した「世界的投資家ジム・ロジャーズ」や「NETFLIXの”愛の不時着”」からは、世界の人たちが必死になって生きている現状が伝わってきます。世界は事実だけを捉えていません。そこから行動を起こしています。
学調を通じて中学生たちに世界へ、将来へ、生きることへの問いに繋げられたら、本当の意味で学ぶことの意義を感じられると思います。
2020/09/10 Category | blog