令和3年度 静岡県公立高校入試 問題を分析
3月3日(水)・4(木)に静岡県公立高校入試が行われました。翌日私は新聞に掲載された静岡県公立高校入試問題を解いてみました。その感想を綴りますね。
予想通りの出題傾向
12年ぶり教科書大改訂を来年度に控え、現行教科書を扱う最後の入試問題だけに変更はないであろうと予想されていた通りの問題でした。静岡県らしい正統派の出題傾向です。
国語、数学、英語、社会、理科のどの教科も今までとほぼ変わらない出題パターン。特に数学と英語はブレていません。過去問を繰り返し練習していれば点数が取れてしまう予想通りの入試問題です。
これだけ出題傾向が変化しないと、気骨さえ感じてしまう入試問題ですが、他府県の入試問題と比べると、真面目すぎるがゆえの古臭さと視野の狭さは否めません。特に、進学校に進学する生徒さんたちは全国区で競う大学受験に視線を向けると、大学入試改革との歩調が合っておらず、大きな出遅れが生じる可能性があります。
さて、入試問題の話に戻しましょう。
静岡の正統派な傾向が顕著だった問題がこちらです。
国語の作文問題
英語の長文問題
他府県ではSDGsや哲学をテーマにした問題が主流なのに、静岡県では「自分が見つけた楽しさを周囲の人に伝えますか?」や「部活動であった友達関係の良い話」とは・・・。
他府県と根本的に方向性が異なるというか時代を逆行している出題に唖然とさせられました。
一部では良問も出題されていましたが、おそらく過去10年を遡っても、もっとも簡単な高校入試問題だったのではないでしょうか。辛口な表現ですが、「ザ・静岡」といった問題でした。
他府県と比べるととても簡単。受験指導者から言わせればとても対策しやすい入試問題でしたが、これで中学生のため、地域のため、人材育成のためになるのかと疑問が残りました。
静岡県公立高校入試の合否は内申点重視。さらに、倍率に目を向けると、静岡県公立高校入試の実質志願倍率は全体で0.99%。定員を下回っています。このような状況下では入試前から結果は決まっているようなもの。予定調和的な中で行われる公立高校入試の価値を見いだしにくいですよね。
将来を見据えたご家庭が、時代に対応できている私立高校に進路を見出す流れも年々強まっているように感じます。公立高校の存在価値は一体どうなるのでしょう?
私たち大人が中学生に伝えるべきことが変わってきているように思えてなりません。視座をもっと遠くに置くことではないでしょうか。大学を卒業しても将来生き残ることが困難な時代です。漠然と高校に進学するのではなく、10年後の自分を描き進学するように伝えることを。
2021/03/08 Category | blog