自分のことは自分でやってほしい


最近、「自走」という言葉をよく耳にします。この言葉の意味は文字通り「自ら走る」ですね。チャットのボット機能などで使われる言葉でもあります。



「自走」は、教育界においては少しだけ拡大解釈され「自分ことは自分でやる」という意味で使われているようです。





例えば、



勉強において。





今、何を勉強したらいいのか



自分で考え自分で決める。決めたら行動に起こせるお子さんのこと指します。





自走できるお子さんに育ったらいいですよね。お父さんお母さんの望みは、これではないでしょうか(笑)。





さて、なぜ今「自走」の言葉がよく言われているのでしょうか。





私はこのように考えました。



時代の変化が止まらないどころか、ますます加速していく昨今で、お父さん・お母さんは仕事に、社会に適応しようと多忙を極めていますよね。その中、家庭において、お子さんとゆっくり過ごす時間を持てない、話せなくなっているのが原因ではないかと思います。



私のところに寄せられる教育の悩みや相談に、このような背景がチラチラと見えることが増えてきたように思います。つまり、お父さんお母さんはお子さんに対して「自分のことは自分でやってほしい」と必要に迫られているように感じているのです。



また、このようなことも考えました。



VUCA時代、社会に身を置いている大人ほど実感されているのではないでしょうか。お子さんが、言われたことだけをしているようでは、将来、生活していけないことを。想定外のことが日常的に起こり変化している時代です。従順な性格よりも自ら創造する能力の方が生き抜いていく力にになります。だから自分で考え、決断し、行動を起こせる人に育ってほしいと考えることは必然です。





自分のことを自分でやれるようになった先に勉強がある時代です。



さて、どうやって自走できるお子さんを育てられるかです。





キーワードは語彙力と哲学です。





まずは語彙力について説明しましょう。



自分で考えたことを言語化することで、的確な決断ができるからです。



語彙力があればあるほど想像したことの解像度が高くなり、細部がはっきりと見え、遠くまで見渡せるようになります。つまり決断の精度が上がります。語彙力が高いほど自走しやすくなるのです。実際に読書量が豊富で本のジャンルが多岐に渡るお子さんは自走できる傾向にあります。豊かな読書体験が自走できるお子さんを育てます。





次に哲学です。



自分はこのように生きたいのだ、在りたいのだという生き方の軸を備えている人は芯が強いです。なぜなら判断に迷うことが少ないからです。「決断と行動はセット」とは自己啓発書でよく言われるセリフ。哲学を持っていれば行動を起こしやすくなります。そしてこの哲学も読書体験から身につけられます。人生において何度も読み返す哲学書を持っている方も少なくないと思います。つまり読書することで自走できるお子さんが育ちます。





私は本を読むことを第一とした指導をしています。本を読むことで語彙力と精神性が学力を高めてくれ、利他的な精神を育んでくれるからです。これこそがお父さんお母さんが望まれていることではないでしょうか。プリント学習や問題集を進めるのもいいですが、その前に本を読むことをしてほしいです。形骸化した勉強では人生を支えられません。



勉強ができても、そこに利他的な精神がなければ評価されず社会に馴染めません。子どもたちの勉強の先に奉仕の精神を宿してもらうことが任務であると私は決めています。



自走できることが、勉強ができることよりも価値がある。






2022/09/27 Category | blog 



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