「自分らしさ」を育むために -浜松西高中等部受験の準備を始めるご家庭に向けて-
冬の夕暮れ時、PCの前で仕事をしていた私の机に、一人の小6受験生が近づいてきました。「先生、先週の作文、書き直してきました」そっと差し出された作文用紙には、前回よりもずっと生き生きとした言葉が並んでいました。その生徒は普段、人前では自分の意見を言うことが苦手でした。でも、作文を通して、少しずつ自分の思いを表現できるようになってきたのです。
浜松西高中等部入試に向けて準備を始められるご家庭の皆さんへ、このような経験から、「自分らしさ」を育むためのヒントをお伝えしたいと思います。
「自分の考えを持つこと」の大切さ
ある日の授業で、「未来の街」というテーマで話し合いをしました。最初は「正解」を探そうとしていた生徒たち。でも「ここには正解はないんだよ。君たちの考える理想の街を教えて」と声をかけると、徐々に自由な発想が飛び交い始めました。「お年寄りが安心して暮らせる街」「自然と調和した街」など、それぞれの価値観が反映された意見が出てきたのです。
日常の「なぜ?」を大切に
電車の中で本を読んでいた生徒が「この主人公の行動、おかしくないですか?」と質問してきました。その「なぜ?」という気持ちこそ、考える力の芽生えです。ご家庭でも、お子さんの「不思議だな」「どうしてだろう」という言葉に耳を傾けてみてください。
「間違い」を恐れない環境づくり
作文の授業では、まず「メモ書きシート」を用意します。ここには誤字も脱字も、文章の破綻も許されます。なぜなら、それは思考の過程だからです。ある生徒は最初「自分の文章なんて、つまらないと思います」と言っていました。でも、このシートを使い始めてから「失敗してもいいんだ」と気持ちが楽になり、徐々に自分らしい表現ができるようになってきました。
保護者の皆様へ
入試に向けた準備は確かに大切です。でも、それ以上に大切なのは、お子さんが自分の考えや感性を大切にできる環境です。日々の何気ない会話の中で「それはなぜ?」と問いかけてみる。休日には図書館で好きな本を探す時間を作る。家族で新聞記事について話し合ってみる。そんな小さな積み重ねが、やがてお子さんの「自分らしさ」となって実を結ぶのです。
明日も、教室のどこかで「先生、こう考えたんですけど…」という声が聞こえてくることでしょう。その一つひとつの声に、私たちは真摯に耳を傾けていきたいと思います。
2025/01/06 Category | blog
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