将来の「一流」を育てるには幼いときの広い選択肢が必要
子どもに対して最初から絞ったことを教えるよりも、多様な物事に挑戦させ、専門的で技術的なことをあとから教えること。しかし実際には先に技術を教えてしまうことが多い。その結果、子どものポテンシャルを破壊してしまう結果になってしまうのである。(本誌抜粋)
アメリカのオバマ大統領も購入した話題の書籍の一部分を抜粋しました。この本に書かれている最新の遺伝子研究を使って解き明かした能力開花のさせ方は実に興味深いです。
早期教育を受け、小学生のときには学業優秀だった子が、中高校生になった頃には勉強にやる気を失ってしまうケースを最近よく耳にします。このアンサーもこの本で掴むことも可能。私は普段授業をさせていただく中で、子どもたちが問題を解くときに、脳のどの部分を使って考えているか気にしていますが、勉強だけでなく、それ以外の経験が豊富な子のほうが、ひらめき力があり、思考パターンも豊富。結果的に「広い選択肢」を与えられて育ってきた生徒のほうがよく成績が伸びていることに気がつきます。10歳の天才を作る必要はありません。20歳、30歳で成功すればいいと思いませんか。小さい頃から、作文指導で句読点の打ち方や「てにをは」の細かな指導を受けてきた生徒が小学生の高学年になったときに作文力が向上しにくいことにも合点がいきます。とくに小学生は細かなことなど気にせず、もっと楽しく豪快に書かせた方が中学生や高校生になったときに作文が得意になっていきます。これは他の教科でも同様です。幼いころの技術という狭い範囲での教育が仇となることが解明されたからには、教育や子育ての視野を広げ、長いスパンで物事を判断する親(教育者)の視点が子どもたちの将来を左右する大きな要因の一つになりそうです。ここで紹介する本は448ページもある大作ですが、これからの子育て法が凝縮されていると思うと、あっという間に読めてしまいます。おすすめです。
書籍情報
タイトル:スポーツ遺伝子は勝者を決めるか?アスリートの科学
著者:デビット・エスプタイン
監修:福典之
出版社:早川書房
2015/02/14 Category | blog
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