木も見て森も見る

 目から鱗が落ちる本に出会ってしまいました。「システム・シンキング・トレーニングブック」。簡単に言えば、物事が失敗する様子を8つの型にまとめ、図化したものです。ダニエル・キム教授(マサチューセッツ工科大学教授)が唱える8つの問題解決思考法。これがものすごく判りやすいのです。

 ここで紹介されているすべての問題解決法は、問題(トラブル)となる因子を摘出し、それらを時系列に分類しながら円を描くようにして配置していく。

 問題因子摘出 → 時系列に分類 → 円を描くように配置

 問題によってはその円が二つであり、二重であり、八の字を描く場合もある。これらの組み合わせで8つの問題解決思考法が紹介されていて、すべての問題がその円をループしながら事態が進んで行く(悪化してく)様子を示しています。それはまるで、地下にある暗い部屋に向かって螺旋階段をゆっくりと降りていく様子です。

 この解決思考法が秀逸なところは、学習の場の問題もすべて解決できそうなところです。例えば、漢字の習得が苦手な生徒。数学の図形で点が取れない中学生、国語が嫌いな小学生。勉強に集中できない生徒、ミスばかりしてしまう生徒などなど、あらゆる場面に適応できてしまうところ。起きている問題の根源を洗い出し、ループ図を描く。すると、なぜ、こんなことになってしまっているのかがよくわかります。

 冒頭のまえがきで著者がトラブルを回避するための方法を簡単に述べています。

「木を見て森を見ず」ではなく、「木も見て森も見る」

 これが成長、成功していくための考え方であると、この本は諭してくれます。

書籍:持続的成長を可能にする組織変革のための8つの問題解決思考法「システム・シンキング トレーニングブック」
著者:ダニエル・キム/バージニア・アンダーソン
訳:宮川雅明/川瀬誠

※現在、絶版となっているようです。


2015/08/17 Category | blog 



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