本当は言ってやりたい
本当は言ってやりたい。
「頑張れよ!」
「気負い入れてやろうぜ!」
「絶対合格できるって!」
誰よりもアツく応援しているつもりだが、言えないのだ。いや、それを言ってしまってはいけないのだ。
高校入試まであと10日を切ったこの時期、いつも私は自分自身と葛藤しそうになる。
私の受験指導は入試本番が近づくと淡々としてくる。これには理由がある。
「合格するためだ」
受験生は良くも悪くも感情が動き出すとそれが邪魔になる。受験生たちはまなび研究所の中で、もう十分すぎるくらい自分を分析し、勝負哲学を学び、するべきことを明確にし、勉強の量を重ねてきた。だから、入試直前だからといって特別なことをしてモチベーションを上げる必要は何もない。むしろ落ち着いた状態にさせ、普段通りに日々過ごさせ入試を迎えさせてあげることがベストなのだ。これがまなび研究所の勝ち方なのだから仕方がない、と自分に言い聞かせるのだが、やはり言えないのは辛い。
今週火曜日の夜、今年の受験生にも入試直前のまなび研究所の今後の対応について伝えた。受験生たちは淡々とそれを聞いてくれた。いよいよその時が来た、と覚悟を定めている様子。その後の私は受験生たちが黙々と勉強に励む姿を教室の後ろから眺めている。質問があればそれに答えているのだが、その対応は淡々としている。いや、淡々としたフリをしているのだ。
受験勉強は飛行機のフライトに似ている。今、長いフライトを終え、目的の飛行場が見えてきたところだ。そしていよいよ着陸。受験生たちが完璧な着陸をすることを信じて疑っていない。管制塔から私は静かに見守っている。
2016/02/20 Category | blog